スラムの片隅から世界を、、【YUMEKAKE/JOHN's diary】

国際協力活動のなかでのマジメな話からゆる~い話まで/海外から日本から

「I can’t breathe」 ~未だ根深いアメリカの人種差別問題。そしてチベット問題。暗闇の中で、彼は叫んだ、「息ができない」、、

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アメリカで多くの暴動が起きてる。ニューヨークは夜間外出禁止令。
ホワイトハウス前での暴動では、トランプさんが地下壕に避難したらしい。
新型コロナウィルスでの規制や政策に反発、、ではなく、
先日、警官のひざで首を押さえつけられアフリカ系アメリカ人(以下、申し訳ございませんが、「黒人」と表させて頂きます。)の男性のジョージ・フロイドさんが死亡したことを受けたことに対してだ。

コロナとは別のこと、と書いたが、やはり影響はしているだろう。人々は確かに人種差別に憤ってはいるが、同時に、ずっとステイホームで、イライラが募っていたことも、今回の暴動がこれほどに大規模になってしまった要因になると思う。

そして、この手の事件は何回も何回も起きてるので、みんなもう、「いいかげんにしろよ」っていうのは、本当にあるだろう。

そう、、このような人種差別に対する抗議活動は、これまでも度々あった。
その度に、根本的には人種差別問題を解決できていないアメリカの闇が浮かび上がる。
例えば以前起きた同様の大きな暴動といえば、ロサンゼルス暴動だ。
問題提起をするように映画化とかもされている。
しかしまた同じことを繰り返している。
そして、黒人は、白人に比べて圧倒的に、逮捕されて警察に射殺される可能性が高く、しかし、逆に、警官が非武装の黒人の殺害で起訴されることはめったにない。

闇があるところには、犯罪が起きる。
そして、その罪は、犯罪を犯した者だけにあるのではなく、闇を生み出した社会や制度にもある。

今回の被害者であるフロイドさんは、警官に激しく押さえつけられて、何度もこう訴えたという。

「I can’t breathe」

” 息ができない ” 

これは、アメリカの歴史の中で虐げられ、そして今も差別に苦しんでいるアフリカ系人種全体の叫びだ。

そして、亡くなったフロイドさんの弟が、殺害現場を訪れ、過激化する抗議行動や暴動に足し、こう語った。
「皆さん、抗議のやり方を変えましょう。お願いですから平和的に行いましょう」
確かにそうだろう。
抗議の声を上げることは必要だが、暴動や放火や略奪は、なにかその方向性が違う。
しかし、得てして群衆の怒りはこういう形で爆発する。

これもまた、アメリカ社会のどうしようもない歪みゆえ、なのだろうか。

そして、この問題を、有色人種差別、黒人差別という言い方をしてしまうと、まるで黒人の問題のように思えてしまうが、意識しなければならないのは、変わらなければならないのは、白人側であり、そう、これは、白人の問題なのだ。
それをしっかりと認識しなければならない。

そのアメリカだが、

今、国際的に、外交上、とても繊細な問題に手を突っ込んでいる。

これも”直接的”にはコロナとは別の話だ。

それは、チベット問題だ。

その歴史を辿っていくと、大変なことになるのだが、
ざくっと言ってしまうと、

もともと独立国家だったチベットを、中国が「もともとは中国だった」という強引な理屈と、軍事力の脅しによって、1951年、むりやり中国の一部にした。
(これって今、香港にやってることと一緒だよね。だから余計に香港は中国返還に対し警戒心を抱いてるんだろう。)
仏教国だったチベットの僧院を破壊し、弾圧し、土地を勝手に分配し、抵抗したチベット人による反乱(チベット動乱)を制圧し、法王ダライ・ラマはインドへ亡命することになってしまい、そして、チベットを中国の一部「チベット自治区」とした。
中国はチベットに対し、政治的、教育的、文化的、人種的、宗教的、軍事的、、あらゆる形での弾圧を行い、民族のアイデンティティを破壊しようとした。
もちろん今でも、中国支配に抵抗するデモ等はたえることなく、しかし、「ダライ・ラマ万歳」「チベットに自由を」などとスローガンを叫んだだけで、裁判もなしに過酷な環境の刑務所に投獄され、労働矯正キャンプに送られ、拷問を受け、死刑になる人もいる。

そういう状態で今に至っている。

チベットでは、中国によって、ひとつの民族を物理的に抹殺してしてしまう「民族浄化」が、ゆるやかな形で確実に進んでいる。そうすれば、いずれチベット問題という問題自体がなくなる。もしかしたらこれが、中国が求める最終的な解決法なのかもしれない。

そんなチベットで、近年、こんなことが起きた。

最高指導者ダライ・ラマ14世は1995年5月14日、当時6歳だったゲンドゥン・チューキ・ニマ氏をパンチェン・ラマの生まれ変わりと認定した。
パンチェン・ラマは、チベット仏教では、ダライ・ラマに次ぐ地位。ダライ・ラマ同様、「転生している」とされている。しかし、中国政府は、6歳のこの少年をパンチェン・ラマと認めず、捕まえてしまったのである。そしてそれ以降、25年間、彼の行方は知れない。
そして中国は、なんと他の人物を勝手に、別のパンチェン・ラマと認定し、チベットの指導者にしようとした。
もちろんこの行為は大きな反感を抱かせた。チベットからも、世界からも。

そしてこのあいだ、突然(?)、アメリカ、ポンペオ国務長官は、その25年前にチベット仏教第2の高位者パンチェン・ラマに認定され、その後まもなく拘束された男性の居場所を「直ちに」公表するよう中国に要求したのである。

実質的な中国への政治的介入だ。

これは一見、正義であるように見えるが、もちろん、そこには、アメリカと中国の対立、いわゆる世界における米中覇権戦争(新しい冷戦)や、トランプ米大統領の思惑がある。
しばらく続いている米中貿易戦争、今回の新型コロナウィルスにおける中国批判、そして迫りくるアメリカ大統領選挙、、、
この過程には、中国政府が強制的な人民の再教育のために、「大規模な収容キャンプのようにしてしまった」と世界から避難されたウィグル自治区の問題もある。

もちろん、この動きによってチベット問題が解決に向かい、長年弾圧されてきたチベット民族が解放される日が来たら素晴らしいと思う。
今回のアメリカの訴えは、裏にアメリカの思惑こそあれ、チベットにも決してネガティブなことではない。
いや、むしろ、両国にとって、互いに利益があることだ。

ここにきて「チベットカード」を切ってきたアメリカ。
その行く末について、それは長年、国際的な懸念事項であったこと故、今後の世界情勢と共に、注視していかなければならないだろう。

ところで、アメリカとチベットといえば、実は前から関係が深い(と思われる)。
アメリカ・CIAが中国への諜報活動のためにチベットを利用し、チベット独立運動の際に、そのゲリラ活動を陰で支援していたという。(近年、中東での米ロの代理戦争でよくある構図)
しかし、大きな転機が訪れる。米・ニクソン大統領が米中国交回復に乗り出したため、CIAもチベットからは手を引かざるを得なくなり、支援組織を失ったチベットゲリラは、最終的にはインドに亡命したダライ・ラマ14世の説得もあり、武器を捨てた。

そんな歴史もある。

チベット問題は北京オリンピックをきっかけに再度、注目を集めたが、そのルーツをたどれば1世紀以上も昔にさかのぼる、とても根の深い問題なのである。

今またそのカードを切ったアメリカ。
この先、中国との関係や、国際情勢も刻一刻と変化していくだろうが、
もう、このカードを引っ込めないでほしい。

ずっと虐げられてきた、チベット民族のために。

その怒りと哀しみの歴史のために。

もう一度、この言葉を言おう。

「I can’t breathe」

それは、世界のいろんな地域で、さまざまな形で、虐げられてきた人々の、暗闇の中からの、心の叫びなのだ。


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自分は、国際協力NGO「HOPE~ハロハロオアシス」の代表を務めています。(詳しくは下記「自己紹介・NGO連絡先」リンクをご参照お願い致します。)
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